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Vol.3 大学病院での研修について

院長コラム 2013.12.19

 こんちには。院長の牧野です。今回のコラムは当院の医療レベルの向上への取り組みの一つとして、私が毎週水曜日に通わせていただいている大学病院での研修について書いてみたいと思います。
研修場所は東京都府中市の東京農工大学農学部付属動物医療センターというところで、皮膚科の研修医として研修を受けています。ここは小動物医療の皮膚科領域でとても有名なところです。農工大動物医療センターの研修医には2種類あって、一つ目は1種研修医で大学から幾ばくかのお給料をもらいながら全科(外科とか腫瘍科とか内科とか)を習得する人たちで(とても忙しそう)、二つ目が私も属する2種研修医で好きな科を選択して週1回くらい研修を受ける人たちです。基本的に2種研修医は他の動物病院で勤務しており、週1回勉強のために大学病院に研修を受けに来ているというスタンスになります。休みの日を1日削って勉強しに来る人たちなので、みんな意欲が高く、知識も豊富なので、研修医仲間から教わることもとても多いです。私と同じように最近自分の病院を開院した研修医も多く、またここ1,2年で開院しようとしている人も多いので、そういう情報も教えあったりしながら和気藹々と診察をしております。
さて、研修医の1日。朝9時までに集合。その日の初診と再診の表を眺めて、自分の再診が入ってないか、初診を受け持つかを担当の先生と相談して決めていきます。研修医の役割は問診を取り、健診を行い、症状などから鑑別診断を思い浮かべ、担当教員と相談しながら検査を進めていくというものです。最終的な診断や方針の決定は教員が行います。初診を受け持つとその日は少し大変になります。まず紹介状を見て、今までの経過を頭に入れます。この時点でどんな病気が可能性があるのかを考えておきます。そして問診を取りますが、とても聞くことが多い。大学まで来ている症例なので基本的に今までの経過も長く、症状も複雑なことが多いので、経過や症状や今までの治療や生活環境に至るまで、聞き漏らしが無いようにしつこく聞いていきます。30分以上かかることもざらです。問診が終わるとわんちゃん・ねこさんをお預かりして検査をしていきます。担当教員に経過を報告し、皮膚病変を診てもらい、どんな検査をしていくか方針を立ててもらいます。初診の場合は一般的な皮膚の検査以外にも血液検査やレントゲン検査、超音波検査なども行うことが多いです。検査結果が一通り出そろったところでまた担当の先生に報告し、さらに検査を進めていくか、あるいは治療方針を決めて飼い主さまに報告することとなります。そしてお薬を用意して、診療明細を作成して、飼い主さまに最後にお薬の注意点などを説明してお帰りいただくという様な流れになります。受け持つ症例がない日は他の研修医の先生たちのお手伝いをします。動物の保定をしたり、検査をしたり、ときにはシャンプーをしたりもします。開業医になると普段あまり保定をしたりはしないので、こういうのも結構気分転換になったり、看護士さんに教えるときに役に立ったりします。お昼頃に全部の診察が終わるとセミナー室でその日来院した症例の検討会を行い、その日の研修は終了となります。

皮膚病の場合、1回大学に通っただけで診断がつくことはまれで、何回か通っていただいて、経過を追いながら一つずつ鑑別疾患を消していき、最終的な診断にたどり着くことが多い。その辺は一般開業医でも大学病院でも変わらないのですが、大きな違いは確定診断まで至る率とスピードだと思います。皮膚病における診断の進め方に関してはまた別にコラムで取り上げたいと思っています。
他の科の先生方にも色々と相談できるのも大学で研修しているメリットかもしれません。実際、私も皮膚以外のことで外科や腫瘍科の先生方にしょっちゅう相談に乗ってもらっています。何より色々なバックグランドの先生たちと知り合えるというのは純粋に楽しいことでもあるので、可能な限り研修医を続けていきたいと思っております。そして大学病院で得た知識や経験を少しでも当院に通院してくださるオーナーさまと動物たちに還元できたらと思っております。
次回は私が取得を目指している皮膚科認定医についてと、その一環として学会での症例発表について書いてみたいと思います。それではまた。

研修医、いったい何人でシャンプーするんだ?

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