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Vol.5 どうぶつの健康診断 どこまでやるの?

院長コラム 2014.11.25

さて、一言で健康診断といっても、いろいろな検査が可能な現状でいったいどこまで検査していけばいいのか、どれくらいの頻度ですればいいのか、疑問に思っている方も多いかと思います。

まず考えなければいけないのは、当然のことながら動物医療の場合、ヒト医療と異なり、診療対象が言葉を話せないどうぶつたちであるということ。ここが痛いとか症状を訴えてくれない。弱みを見せたくないという本能的な反応も多く、触診をしてもどこが痛いのかよくわからないということもしばしばです。そういった意味において、血液検査や画像検査などの検査は、客観的なデータを集めるために、ヒト医療の場合よりも早め早めに進めていくほうが無難です。
さらに健康診断の頻度ということでは、たいていのどうぶつたちは人よりも老化のスピードが速いということも考えなければいけません。わんちゃん・ねこちゃんで人の大体4〜5倍のスピードで老化するといわれています。検査頻度はもちろん多いに越したことはないですが、どうぶつたちへの負担、費用の面などを考えると7歳くらいまでは1年に1回、それ以降は年2回検査をするというのが妥当な線かもしれません。
どこまで検査したら良いのか、というのも難しい問題です。考えなければならないのはある検査を受ける場合、その検査を受けることで受ける利益と不利益のバランスです。人間ドックの場合、ヘリカルCTやMRI、胃カメラなども選択肢になりますが、どうぶつの場合、CTやMRIを撮影するには通常全身麻酔が必要になります。費用的にもかなり高額な検査となりますので、理想は理想ですが現実的ではありません。どうぶつにもあまり多くの負担をかけずに行うことが出来て、得られる情報も多いという検査としては、身体検査、尿検査、検便、血液検査、レントゲン検査、超音波検査といったところになるでしょう。どうぶつたちの性格によっても出来る検査と実際問題として行うことが難しい検査があるでしょう。
結局のところ、必要性、どうぶつの性格・状態・年齢、費用を考えて実施するメニューをオーダーメイドで作っていくのが良いと思います。

まとめると、
① 検査頻度:若いときは年1回、高齢から老齢のどうぶつで年2回
② 検査メニュー:身体検査、尿検査、検便、血液検査、レントゲン検査、超音波検査を基本に、場合によって、内分泌検査などのオプションの検査を選択する。
③ 必ずしもすべての検査が行えるわけではない。
④ 費用対効果で必要な検査を獣医師と話し合って検査項目を決める。

ちなみに私が飼い主であった場合には、身体検査は適宜行い、飼い始めに最低限検便、一歳ころまでに血液検査、レントゲン検査、超音波検査を一度行い、最初の数年は年一度の血液検査、中高齢になってきたら年二回血液検査・年一度はレントゲン、超音波、尿検査をする。他に気になる症状があればそれに対して必要な検査を入れていくといった形でしょうか。

ばらばらに検査するより安いセットのワンドック、ニャンドックもありますので、ご利用いただければ幸いです。定期的な健康診断によってどうぶつたちの健康状態を把握し、適切な対処が出来るように飼い主さまと一緒に考えていければ、と思います。


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