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Vol.1 気軽に立ち寄れる動物病院を目指して

院長コラム 2013.06.10

 当たり前のことかもしれませんが、獣医師として動物病院に勤務してきて、もう少し早く見せていただけたら違う結果になっていたかもしれないとか、逆に早く見せていただいたために早期治療が可能になって非常に良好な経過をたどるというような経験を多くしてきました。もちろん早く見せてもらっても何もせず経過を見て悪化してきたら検査しましょうというようなケースもよくあるのですが、やはり健康の秘訣が予防・病気の早期発見にあるというのは人の場合でも動物医療でも同じです。では病気の早期発見するためにはどうしたらよいかというと、飼い主さまに動物をよく観察してもらうこと、異常に気付いたらすぐに動物病院に連れてきてもらうということが基本となります。しかし動物病院に通い慣れている一部の飼い主さまを除いて、動物病院というのは非常に入りづらい空間なのではないでしょうか。もし私が獣医師という職業に就いていなかったら、動物病院というのはとてもとても身近な場所には感じられないに違いありません。当院を開院するに当たって、「少しでも入りやすい動物病院にしたい」というのが私の思いでありました。

 

動物病院の敷居の高さはどこにあるかと考えた結論として、

  1. 外観からして入りにくい
  2. 費用が高い、料金体系がよく分からない
  3. 獣医師に話が聞きにくい(こんなことで来院していいのだろうかとか考えてしまう)
  4. どうぶつたちが入りたがらない

といったことに問題があるのではないかと思いました。 

まず①についてですが、中の様子がある程度見えるけれども、見えすぎないように、そしてあまりおしゃれすぎてもきっと入りづらいと感じる人がいるぞ(私のことです)と考えて設計しました。建物の構造や契約上の制約がありなかなか思うような外装にはできなかったのですが。

②について。なるべく来院頻度を多くしてもらうために、初診料・再診料などは安めに設定しています。基本的には保健医療ではないので、検査などを多くすればある程度の金額にはなってしまいますが、説明をしっかりすることによりなるべく無駄な検査・治療をしないように、飼い主さまの納得のいく検査・治療をするように心掛けています(この辺のことはまたこのコラム欄で取り上げたいと思います)。

③についてですが、これは飼い主さまにお願いしたいのですが、とにかくどうぶつの生活・病気に関することで疑問に思うことは何でも質問してください。どんなに些細と思うことでも聞いていただければ、分かる範囲でお答えしますし、そのようなことに実は病気の発見に繋がるヒントがあったりしますので。われわれスタッフも飼い主さまが聞きたいことを聞ける雰囲気を作るように努力していきます。

④について。動物病院ではどうぶつ達が嫌がることをたくさんします。場合によっては、嫌なことしかしないかもしれません。
病院が嫌いなどうぶつ達からしたら、診察はこのように感じるのではないでしょうか。
「消毒剤や他のどうぶつ達の臭いのする知らない場所に連れてこられたうえに高い台(診察台)に乗せられて、次には知らない人間に身体を触られ(なでられた)、痛いこと(注射)をされたー!」
こんなに怖い思いをしたどうぶつ達はますます病院に来ることが嫌いになってしまいます。こうなると診察は不安以外の何ものでもないかもしれません。

でも私たちはこんな風にかえていきたいと思っています。

いつもおやつをもらっていて大好きな人たちのいる安心できる場所(診察室)で、慣れている人間(病院スタッフ)にだっこしてもらう。なでてもらう。
「ちょっと痛いこと(注射)されたけど、おやつもらっておいしかった!」
普段から動物病院での対応を工夫すること、飼い主さまの意識をかえると、このようにどうぶつの反応をかえることも不可能ではありません。

注射など痛いことや検査は絶対にしなければならないけれど、病院とそこで働くスタッフに慣れているもしくは怖がっていないだけでどうぶつ達のストレスは格段に減り、検査や治療の選択肢は広がります。そして病院に行くたびに嫌がるどうぶつを見なくてもいいというのは飼い主さまにとってもわれわれ病院のスタッフにとっても本当に嬉しいことなのです。

飼い主さまとどうぶつたちが気軽に来院して、楽しい気持ちで帰れるような場所に(わんちゃんだったらお散歩の休憩場所に)なるよう、これからも努力していきますので、よろしくお願いいたします。


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