院長コラム
 Vol.8 世界獣医皮膚科学会@Bordeaux

5月31〜6月6日まで、病院を副院長に任せて、フランス、ボルドーで開催された世界獣医皮膚科学会に参加してきました。不在中はご不便・ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
 世界獣医皮膚科学会は4年に一度開催される獣医皮膚科のオリンピックのようなもので、現時点での最新の知見が発表・議論され、今後4年間の皮膚科診療の潮流が決まります。約2000人の獣医皮膚科に携わる先生が世界中から参加し、何と日本からの参加人数はアメリカ、地元フランスに次ぐ3番目の150人と、過去最高となりました。
 さて、今回の学会では、抗生物質に対する耐性菌の問題と、犬アトピー性皮膚炎の新しい治療法についてというトピックが2大テーマとして大きく取り上げられていました。
 耐性菌に関しては、私が個人的にも興味のある分野で多くを語りたいところなのですが、それほど目新しいことはなかったというのが印象です。どちらかというと、「耐性菌が問題だということを世界的に各獣医が認識しましょう」という段階なのかなと思いました。ただ抗菌ペプチドを利用したシャンプー剤の話など、早期の商品化を期待するような内容もありました。
 今回の学会で、多くの皮膚科診療医が一番興味を持った内容はおそらく主としてIL-31をターゲットにした新しい犬アトピー性皮膚炎の治療薬についてでしょう。具体的にはオクラシチニブと、犬アトピー性皮膚炎用免疫療法薬(lokivetmab)という2種類のお薬です。オクラシチニブは「アポキル」という名前で、すでに数年前に欧米で発売されています。痒みを抑えるお薬として優れた効果があるようです。副作用もステロイド剤などと比較すると少ないと考えられますので、今後日本でもアトピー性皮膚炎の治療薬として主役になっていくと思います。「アポキル」は今年の6〜7月に日本でも販売が開始されます。現段階での使用法と問題点も学んできましたので、興味がある方はご相談ください。当院でも導入予定です。
 犬アトピー性皮膚炎用免疫療法薬(lokivetmab)に関してですが、こちらのお薬はここ2年くらい、アメリカ合衆国のみで使用されています。オクラシチニブよりさらに薬の作用点が限定されている(IL-31というサイトカインのみを攻撃する)ので、副作用はより少ないかもしれません。リウマチのお薬として最近使用されている生物学的製剤(レミケード、エンブレル、ヒュミラ、シンポニー、シムジアなど)と同じようなタイプのお薬です。犬アトピー性皮膚炎のような複雑な(病因としてさまざまな要素が複雑にからんでいる)疾患ではこれ一つですべて解決という訳ではないとは思いますが、今後の犬アトピー性皮膚炎の治療薬の中心の一つとなることは間違いなさそうです。このお薬も数年後には日本で販売される予定です。

 当院では、最新の皮膚科診療を皆さまに提供できるように今後とも努力していきますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 「バカンス楽しんできてください」とおっしゃっていただいた皆さん、以上のようにちゃんと5日間英語の講義を聞いてきましたよ!
滞在中のことについてはブログに載せますので、ご覧ください!
2016/06/23

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